丸岡和吾は、東京を拠点に、主に陶器作品を制作している作家です。丸岡の作品の多くは髑髏(どくろ)をモチーフにしており、それは、粘土をこねているうちに偶然作り上げた髑髏の形の美しさに強く惹かれたことから始まったといいます。無意識的に始まった髑髏作りは、既に10年間にもおよび、これまでに酒器、花器、ドローイング、コラボレーション作品など、様々な形で発表されてきました。
丸岡は、十代の頃から、家庭環境や音楽などの影響から、死についてよく考えるようになりました。以降、死だけではなく、生、生前の世界、そして死後の世界にも深く興味を持ち、日々探求し続けています。髑髏はその中でも「死」を象徴するものとして制作しています。
丸岡は、死は常に我々のすぐそばにあるものだと考えています。しかし、死後の世界については、生きている限りでは、けして知ることはできません。答えを見出せない死後の世界への興味や疑問は、丸岡の制作活動の原動力となり、髑髏という形で表現されています。
今回の個展のテーマも「死」です。髑髏をモチーフにした陶器作品、盆栽を入れた髑髏陶器作品、blackmeansとのコラボレーション鋲ジャン、dugudagiiとのコラボレーションのレジンの作品など、様々な作品を展示予定です。
また、個展タイトルの由来でもある「般若心経 Heart Sutra」作品も見所のひとつです。オールドイングリッシュの書体のようなオリジナル漢字フォントで、誰もが一度は耳にしたことがある般若心経を、壁一面に巨大ステッカーとして「写経(仏教のお経を紙に書き写す修行)」をしています。光が当たると反射する写経は、精神と身体の浄化を促してくれるのではないかと丸岡は考えます。
丸岡の新たな髑髏作品と、これまでにない大きな写経作品を、この機会にぜひご高覧くださいますようお願い申し上げます。
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丸岡和吾(まるおかかずみち)
1978年 広島県生まれ 東京都在住。
髑髏や骨をモチーフにした陶器、ドローイングやインスタレーションなど、死をテーマに様々な表現を展開する。
https://www.kazumichimaruoka.com/
instagram: @kazumichimaruoka