Ryuichi Ohira Exhibition <br/>“Rhizome”<br/>2019/11/22~2019/12/08 | Gallery Tsukigime | ギャラリー月極

Ryuichi Ohira Exhibition
“Rhizome”
2019/11/22~2019/12/08

大平は、千葉を拠点に制作活動を続けており、近年は、木材を使用した彫刻を中心に、様々な形態の作品を発表しています。ギャラリー月極では初めての展示となる本展覧会のタイトルrhizome(リゾーム)は、根茎という意味であり、現代思想の、「相互に関係のないものが、横断的な横の関係で結びつくさまを表す概念」としても知られています。

近年、情報技術とコミュニケーション手段の発展により、24時間、誰とでも連絡ができるようになりました。その心理的影響の一つとして、人々が繋がりを強く求めるという傾向が伺えます。それは、美術の世界にも影響を及ぼしています。芸術作品を前にし、多くの人は、作品の意図や意味についての情報を求め、その情報から、作品と自分、作家と自分、作品と作品など、あらゆる繋がりを模索します。

その答え合わせのマテリアルとして使用されるのは、作家が作品のコンセプトを明確に記載しているステートメントです。それは、作品の意図をそのままに伝えることができる重要なものではありますが、同時に、観覧者に作品に対する特定の価値観(作家の価値観)を植え付けてしまうこともあります。逆に、作家がはっきりとしたテーマを提示したとしても、そのテーマの捉え方や価値観は各々違うため、作家の意図したストーリーからは変化してしまうこともあります。アートとは、価値観を開くものだと考える大平は、このテーマを語る、探る、ということに対し、疑問を感じていました。

作家が何気なく作る作品には、作家の日々の思考、その時の感情や影響されたものなどが素直に反映されています。したがって、作品群の繋がりは、はからずも出来てゆくものであり、あえて括る必要はないのではないかと大平は考えます。作家は思うがままに日々制作をし、観覧者は各々の価値観で、作品を解き、共感できるものを見つけ持ち帰る。この、アートに対する非常にシンプルな根源的考えを、我々は今一度思い出す必要があるのかもしれません。

今回は、2018年ごろから制作をしている棒状の木彫に、ボウリングのボールを合わせた新作を展示予定です。玉や棒などの単純な形態は、各々の思いを引き出しやすく、どんなものにでもなることが出来ます。また、シャツ付きのハンガー作品を30個限定で販売予定です。大平の待望の新作を、この機会にぜひご高覧くださいますようお願い申し上げます。

 

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大平龍一(おおひらりゅういち)

1982年東京都生まれ。千葉県在住。2011年東京藝術大学大学院にて博士号を取得。 2005年に「SICF 6th」森美術館館長南条史生賞、2006年に「第54回東京芸術大学卒業・修了制作展」安宅賞を受賞。2010年には、大國魂神社へ「随神像」を奉納。これまでに、国内では、#FR2 GALLERY2(東京)、GALLERY DE ROOM702(大阪)、NANZUKA(東京)、海外ではGalerie Vera Munro (ドイツ・ハンブルク)などで個展を開催。その他国内外の様々なグループ展などに参加し、活動を広げている。