Aki Yamanaka | Exhibition | Gallery Tsukigime | ギャラリー月極

Aki Yamanaka
"Paper Resolution -紙の解像度-"
@OKYAKU [Curated by TSUKIGIME]
2023/07/15 〜 2023/08/13

この度は、高知出身のちぎり絵作家・Aki Yamanakaの初個展 “Paper Resolution – 紙の解像度 -” を開催いたします。

 

Aki Yamanakaの作品は、一言で、端的に「ちぎり絵」と形容してしまうには、その工程はあまりに狂気的なまでに繊細で、途方もない時間と手数によって成っている。それは、ある意味「ちぎり絵」のこれまでの概念を覆すものと言っても過言でない様に思う。 漉き上げられた、無数の楮繊維の集合体(シート)である和紙を、繊維の状態まで再度ちぎり(解き)、植毛するかの如く、一本一本の繊維を、動物の体毛に見立て、具象に再構築する。圧倒的な「解像度」を持った繊維のタブロー。 写真が画素(ピクセル)の集合体であるならば、作家の作品は最長10mmの楮繊維の集合体。どんなに高精細な画像も、拡大していくと最後には色を持った正方形のピクセルに行き当たるが、繊維の解像度はある種粒子レベルまで無限に拡大可能である。

 

本展のメインビジュアルは2420万画素の写真だが、一体実物は幾つの繊維で構成されているのだろうか。 素材となっている土佐典惧帖紙が既に途方もない下処理と作業の産物であることを考えると、この作品にかけられた狂気とも言えるほどのものづくりへの執着も窺える。 上記の具象作品群に加え、作家の新たな試みとなる抽象作品群も併せて展示いたします。具象作品がマクロ的な視点であるならば、抽象作品はミクロと言える。具象作品の一部を顕微鏡で拡大したかの様な、柔らかな繊維の密集、無垢な白の立体平面。それとは対照的な、柔らかな繊維のうねりを固めた、どこか刺々しい立体平面作品。愚直なまでに、具象を突き詰めてきた作家の、ある種、心象風景的な抽象作品群は、これから生み出されるであろう作家の作品に期待を抱かせる。

 

これまでクライアントワークベースで活動してきた作家の、初めての個展形式での展示。一度、ある種完成した作家のスタイルを、自ら解き、改めて自身の表現に向き合い再構築する姿は、まるで作家の作品制作そのものの様に見える。

 

Aki Yamanakaのアーティストとしての門出とも言える本展を、是非ご高覧くださいませ。

 

 

[Artist profile]

Aki Yamanaka

1985年 高知県高知市生まれ、同地在住。 2011年 土佐典惧帖紙職人との出会いをきっかけにちぎり絵の世界へ。 2019年 天皇皇后両陛下、彬子女王殿下への献上品として作品を献上。

2020年 作品『不撓不屈』第33回全国和紙画展 金賞受賞

2021年 作品『蚤知之士』第34回全国和紙画展 大賞受賞

Instagram:@aki.yamanaka_tengu