本展示の作者、ネオン太郎は、お酒で記憶をなくすことがしばしばあり、記憶・思い出というものに人一倍?人二倍?興味を持って生きてきました。また、彼はひょんなことで資産を手にした経験から、資本主義社会にも興味、疑問を持って生きてきました。近年は、本当の幸せとは何かを日々熟考し、人生は思い出づくりという結論に達して、物、金以外の、形にならない目に見えないものに焦点を絞り、創作活動を行っています。
お酒の席の記憶・思い出は、一晩で消えてしまう儚いものです。ネオン太郎は、その儚い瞬間に意味があるのか、そもそも人生そのもの自体が儚い夢なのではないかと考えています。
今回、ネオン太郎が2014年7月から制作している、架空のBARオーナーになりきって書いた日記、約6年間分を文集形式でまとめた冊子と、日記130日分を額装したものを展示・販売いたします。
日記には、架空のBARで毎晩繰り広げられる、誰の記憶にも一切残らないような些細な出来事、少しだけ楽しかったこと、かすかに心に響いた会話などが綴られています。備忘録として散文的に書かれた文体、お客さんの特徴を独特に捉えた表現に、想像力をかきたてられます。
展示作品は、日記原文と、最先端翻訳サービス「Google翻訳」を駆使した英訳を、世界一薄い和紙「土佐典具帖紙」に印字して額装したものです。「google翻訳」の翻訳技術は日々進化しています。かたや「土佐典具帖紙」は10世紀は経年変化は起こらないと言われています。変わるものと、変わらないもの。数十年後、数百年後、見る人は何を思うでしょうか。
*土佐典具帖紙
高知の浜田和紙が伝統を受け継ぐ、流し漉きを極めた技法で造る、厚さ0.03ミリの世界一薄い和紙(重要無形文化財)。
*Google翻訳
インターネット関連のテクノロジー企業Googleが提供するサイトで、テキストの一部分、もしくはウェブサイト全体を多言語に翻訳するサービス。
ネオン太郎(NEON TARO)
1976年、生まれ。元、中目黑にあったとあるバーのオーナー。東京、横浜、山梨、高知で活動、大きな魚と、小さな幸せと、本当の自分を探し、日々迷走中。
https://nakameneon.com/owner/