これまで、高知・OKYAKU、京都・OakwoodHotel( 作品の提供 )、東京・月極 と展示をしてきて、この度の北海道・kolonihave。日本列島を北上する中で、作家 の作風は変容を遂げてきた。作家としてのデビュー戦であった高知での展示 「シャリバテ」は、作家の興味を寄せるところである「山岳信仰」や「自然崇拝」 をテーマに、普段のライスワークからひととき離れて、好きなものを自由に創作 する場であった。京都から東京にかけて、作品に作家のバックグラウンドである アニメーションの要素であるところのレイヤー感が生まれてゆく。具象を描いては 重ねを繰り返してゆくその工程は、アニメーションのタイムラインのようであり、 積層する地層のように何層ものレイヤーをもつ。その堆積に作家の極めてピュアな 創造への熱中を見ることができる。塗り重ねられ見えなくなった層はまるで、想像 に身を委ねるしかない過去への旅であり、はたまた、守袋の中身を想像するような、 禁断の欲望と隣り合わせのようにも感じる。
そして本展では、そこへ民藝的アプローチのレイヤーが重なる。柳宗悦が云う ところの「健全な美」とはまさに作家のことではないかと思うほどに親和性がある、 民藝。その中でも、作家の憧憬するところの、芹沢銈介、柚木沙弥郎に代表される 染色の技術を借りた作品が展示される。重要無形文化財である土佐典具帖紙の現存 する数少ない漉き手である浜田和紙の協力を得て、その先代で人間国宝にも指定 された故・浜田幸雄氏が、和紙のより一層のアート面での普及のために開発した 和紙の染色技術を、作家自ら高知県いの町の工房に滞在し学び、作品に落とし込み ます。画面上に堆積してゆく作家の創造的好奇心はこの先どこへと向かうのか。 きっと、北海道でも未だみぬ誰かと出会い、会話し、食卓を共し、酒を酌み交わし、 厚みを増してゆくことでしょう。
「幸も不幸も気のせいさ」。白でもなければ、黒でもない、グレーですらない。 捉え方ひとつで見え方なんて 180 度変わるものだ。「ネヴァーマインド」難しい ことはあまり考えすぎず、見たいように見れば良い。世の中所詮は「でっちあげ」。 毎日楽しく、健康に。是非、この機会に皆様にご高覧いただけますと幸いです。
[作家略歴]
: POCKET FILMS FESTIVAL」ポンピドゥーセンター(フランス)2008、「NOWJAPAN」LITEXPO(リトアニア) 2017、「あざみ野こどもぎゃらりぃ」横浜市民ギャラリーあざみ野(横浜)2017、「シャリバテ」OKYAKU ( 高知 ) 2021、「富 より健康」月極 ( 東京 ) 2022。Oakwood Hotel ( 京都 ) や渋谷 PARCO にオープンした虎へびコーヒーへのアートワーク の提供なども記憶に新しい。その他のイラストレーションワークに Sasquatchfabrix. とのコラボレーション「Kamisabiru」 冊子、T シャツのイラスト提供。主なアニメーション仕事歴にテレビ東京「うぇぶたま」、NHK 総合「星新一ショートショート」
「紙幣」「ぼろ屋の住人」、NHK 教育テレビ 「青春リアル」、E テレ「シャキーン」など。また、Pocket Films FestivalParis 等でのコンペティションでも数多くノミネートや受賞を果たす。