Yuta Mizukami | Exhibition | Gallery Tsukigime | ギャラリー月極

Yuta Mizukami
"DEBRIS"
2022/10/15 〜 2022/10/30

幼い頃から頭の中で作り上げてきたイメージの破片を集積
デジタル×アナログの両アプローチで権化した水上雄太の初個展

この度、月極ではグラフィックアーティスト、水上雄太による個展「DEBRIS」を10月15日(土)から10月30日(日)まで開催します。1997年生まれ東京在住の彼は、多摩美術大学グラフィックデザイン学科に在学中、デザインに触れ、広告においては朝日広告賞にて学生奨励賞の受賞経験を持ち、現在ではadidasのキャンペーンに参加したり、ヤマハバイクと共に絵本を製作するなど、様々なフィールドで活動を展開してきた新進気鋭のアーティストです。彼の作風はアナログとデジタルの両方を駆使した表現となっています。19歳の頃より独学で2年間アナログ表現を、その後に3年掛けてデジタル表現を研究し、確立してきた独自の技法をさらに1年掛け、ひとつのビジュアルへ集約させてきました。彼はこう語ります。「アナログ表現には制約がない分、そこに作者の責任が伴い、逆に制約が存在するデジタル表現には、その制約を支配し自分のものにしなければいけません。真逆の性質を持つそれらは、表現の補完関係にあり、両方が合わさることで完全な形になると考えたのです」。本展示「DEBRIS」は、その両表現を1年掛け集約してきた作品たちが並びます。決してジャンルでは括ることのできない彼ならではの表現の数々は、現代美術における絵という概念からの解放を感じさせ、その全てに既視感を感じさせません。NFTの登場によりデジタル作品とアナログ作品の価値観が見直される今、その両面を併せ持つ彼の作品たちを、ぜひこの機会にご覧頂けますと幸いです。

[「DEBRIS」アーティストコメント]

私には物事や人全てにイメージが存在します。それを敏感に感じてしまう私は子供の頃より、自分の中に世界を作り上げ、そこに閉じ込めていました。それがいつしか習慣となり、むしろその傾向が強くなっていきました。イメージから得た記憶や感情や人格は時間が経つにつれ具体的な形をなくし、意識の彼方に限りなく積もっていきます。それを何かに組み上げて吐きださなければいけませんでした。私の中に沈澱していった記憶やイメージを掘り起こし、一つ一つの断片を拾い上げ組み上げることによって自分自身を作り上げます。私の作品はその破片であり、それの集積であります。

[Profile]
水上 雄太

1997年東京生まれ。宗教家の母と建築家の父の影響を受け育つ。小学5年生の時ゴッホの本を読み画家を志す。2017年頃から本格的に作品の製作を開始。デジタルとアナログを独学で研究し、両方のアプローチから脳内にある蓄積イメージを限りなく高い解像度で書き出すことに挑んでいる。

<略歴> 2018年 朝日広告賞学生奨励賞 受賞 / 2021年 多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業 <クライアントワーク> adidasキャンペーン参加 グラフィックを提供 / ヤマハバイク企画にて絵本を製作 / インドネシアのブランド TOIDIHOLICとコラボレーション デザイン周りを担当

Instagram:@mizukamiyuta

[ INTERVIEW ]
Q1:ROOTS

小学校5年生の頃に見たゴッホの絵本です。彼の作品、彼の人生を知って、美術の世界にのめり込みました。強烈なインパクトを受けたのを覚えています。壮絶な人生だったのにも関わらず、絵に対する姿勢が変わらない。そんなゴッホが見ていた景色を見たくなったんです。またバスキアの絵にも大きな衝撃を受けました。いろんな表現を知っていく上で、いつの間にかできてしまっていた「絵はこうあるべき」という考えから解放されたように感じました。あらゆるジャンルを凌駕したバスキアの表現こそ自由であり、新しい表現を追求するきっかけとなりました。

Q2:INSPIRATION

ストレス、友好関係や音楽、パンク、POP、環境音楽、クラシック、その全てからインスピレーションを受けています。またシュールレアリスム、ジャクソン・ポロック、アニメや漫画、ストリートアートからも大きな影響を受けています。他にも未知なる物、スピリチュアル、遺跡、建築、機械、流行、絵画など、自分の関心ごとの全てがインスピレーションの源になっています。これらをもとに、音楽を聴いて物語を作り、作品を作っていきます。そうやって幼い頃から頭の中に作ってきた物語の破片を集積したのが、今回の個展「DEBRIS(瓦礫、破片)」です。

Q3:EXPRESSION

大学生の頃、2年間ほど独学でアナログ表現を研究してきました。その後、3年掛けてデジタル表現を研究してきたのですが、その両表現があまりにも違うビジュアルになっていることに気が付いたんです。理由はおそらく、アナログは右脳で、デジタルは左脳で作っていたためです。アナログ表現には制約がなく、そこに作者の責任が伴います。逆にデジタル表現には制約があり、その制約を支配し自分のものにする必要があります。真逆の性質を持つそれらが、表現の補完関係にある思うのです。その2つの表現を集約させていく。これが完全な形であると私は思うんです。

Q4:MISSION

既視感をなくすこと。新しい表現の概念を世の中に提案すること。そして人を驚かせること。それが私の絵を描く理由です。そのために、できる限りイメージを持たずに制作することを心掛けています。手法、画材に捉われず、ジャンルを感じさせないように。そして100%の解像度で描き出すことを意識しています。絵を描き出す際に必ずノイズが生じます。送られてきた電波をブラウン管に映し出す感覚です。具体的に言葉で表すことは難しいのですが、実際に絵を見て頂けると、その表面から感じられると思います。ぜひ、会場で絵を見て感じて頂きたいです。